はりねずみ教

難しいことを分かりやすく!

中東の3極(ハマスとイスラエルの衝突を例に)

ハマスイスラエルにミサイルを撃ち込んでから数週間

 

前に外交官の岡本行夫が言ってた話を思い出したので書こうと思う

 

論旨は、

・中東は3極で考えると理解しやすい

・3極とは、①ユダヤイスラエル、②イスラム(アラブ系)、③イスラム(ペルシャ系)のこと。代表的な国は②がサウジアラビアやエジプト。③はイラン(というか③はイランだけ)

・特に②と③が混ざりやすいので要注意

というもの

 

事の経緯

 

数週間前にハマスイスラエルにミサイルを撃ち込んでから、圧倒的に軍事力で勝るイスラエルの反撃が続いている

 

ハマスによる攻撃の数日前には米国のサリバン大統領補佐官が「中東はここ20年余りで最も静かだ」と調子に乗っていましたが、この発言はいかに米国やイスラエルが、ハマスによる攻撃の兆候を掴めていなかったかを理解する材料に、今ではなっている

 

そもそもなぜ今攻撃したのか

 

なぜ「静か」だった中東で、突如として戦争が始まってしまったのか

 

いやむしろ、「静か」だったからこそ、ハマスは攻撃を仕掛けたと言った方が良い

 

どういうことか

 

中東が「静か」だったのは、かつて仲が悪かった①イスラエルと②イスラム世界の間で、経済協力を念頭に国交正常化が進んでいたから

 

イスラエルはそうすることでイスラム世界に近づき、結果的には聖地エルサレムの奪い合いの問題をソフトランディングしようとしていたはず

 

それは②アラブ系イスラム諸国も同じだったはず

 

でも、ずっと後ろ盾として、一緒に①イスラエルと戦ってくれていた②イスラム系が、自分たちを差し置いて①と仲良くし始めたのだから、ハマスからしたら面白いはずがない

 

だから、ハマスのミサイル攻撃は、「お前ら俺たちパレスチナを置いてきぼりにして、何勝手に仲良くし始めてんねん」という怒りの噴出だったと捉えるのが正しいだろう

 

イスラム系の2極

 

さて、ではこの問題のケースで、②アラブ系イスラム諸国家と③ペルシャイスラム諸国家の動きにはどのような違いがあったのか

 

まず②アラブ系イスラム諸国家は、まさに①イスラエルと国交正常化を進めようとしていた人たち。でも戦争が始まったらイスラエルを非難し、ハマスの指示を表明した人たち

そしてもう一つ付け加えると、ハマス等の過激派を支援は(恐らく)していない人たち

 

一方で③ペルシャイスラムは、そもそも①イスラエルと仲良くしようとしていないし、裏でハマス等の過激派を支援している人たち。そして、今回の戦争への参加が(可能性ありなので)恐れられている人たち。(だから米国は地中海に空母を派遣している!)

 

日本人からすると、アラブ系もペルシャ系も、どちらもイスラムなので違いが分かりにくいですが、言語も違えば(アラビア語ペルシャ語。似てますが違う言語)、歩んできた文化も違う(アラブはオスマンペルシャはその名の通りかつてのペルシャ帝国等)

 

ペルシャといえば紀元前にマケドニア人のアレクサンドロスペルシャのダレイオスが戦っていたので、随分と古い敵(だから西洋はイランを毛嫌いしているのかも)

 

今回の戦争も、この3極に分かれている事を理解した上で見ると、今後の動きも予想しやすいでしょう